心臓リハビリも遠隔の時代へ――。大阪大学発ベンチャーのリモハブは、同社が手掛ける「遠隔管理型心臓リハビリシステム」の事業化を加速する考えを2018年7月25日に開催した記者会見で明らかにした。それに向けて、大阪大学ベンチャーキャピタルとHack Venturesから総額6000万円の資金調達を受けたことを発表した。
遠隔管理型心臓リハビリシステムは、クラウドを活用して患者の自宅と医療機関をつなぎ、自宅にいながら心臓リハビリテーションを受けられるシステムである。大阪大学と東京大学、東北大学が2015年からスタンフォードバイオデザインと共同で行ってきた「ジャパンバイオデザイン フェローシッププログラム」のプロジェクトとして開発された。同プログラムでシステム開発を進めてきた大阪大学 大学院医学系研究科 バイオデザイン学共同研究講座 特任研究員の谷口達典氏が、2017年3月にリモハブを設立した。
ジャパンバイオデザイン フェローシッププログラムの目的は、医療現場の潜在的なニーズを基にソリューションを開発し、事業化できる人材を育成すること。今回の資金調達の実施は、「幸先が良く、同プログラムを通した医療機器開発に弾みがつく」と大阪大学 大学院医学系研究科 教授でジャパンバイオデザイン チーフディレクターの澤芳樹氏は述べた。
外来のリハ継続率は「10%未満」
そもそも心臓リハビリテーションは、心不全を始めとした心疾患の予後改善のための策として、医療機関で行われてきた。医療従事者の指導のもと、30分以上の有酸素運動を週3日以上行うことが望ましいとされている。
リハビリテーションを行うことで再入院する確率が39%減少するといわれているが、外来患者のリハビリテーション継続率は「10%未満にすぎない」と谷口氏は指摘する。いかに外来でリハビリテーションを継続してもらうかが課題だった。
谷口氏らが患者にヒアリングを行ったところ、「週3日も通院するのは大変」「通院するには家族に付き添ってもらわないといけないので気が引ける」などの声が届いたという。そこで開発したのが、遠隔管理型心臓リハビリシステムというわけだ。医療従事者の指導のもと、自宅でリハビリテーションが行えれば、継続率向上が期待できる。