ALS患者向けインターフェースを開発

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者との共同研究を通じ、眼の動きや筋電でOriHimeを操作するインターフェースも開発した。最初に開発した2013年時点では、眼の近くにテープを貼って眼の動きを捉えていたが、2014年にはテープを使わずに眼の動きをセンサーで捉える技術を開発。2015年にはヘッドマウントディスプレーを導入し、没入感のある仮想現実(VR)インターフェースを実現した。

 ALS患者と周囲のコミュニケーションに使う透明文字盤をデジタル化した「OriHime eye」も開発済みだ。透明文字盤は、患者の視線と対話者の視線が透明な文字盤越しに合った時の、文字盤上の文字を対話者が読み取るツール。患者にとっても対話者にとっても、コミュニケーションに伴う負荷が比較的大きい。

 これに対し、OriHime eyeでは透明文字盤をデジタル化してパソコンに取り込み、患者の眼の動きをセンサーで読み取る。パソコン画面上で文字盤を動かせるため、眼を動かさなくてはならない範囲を狭めることができ、文字盤の大きさや画面上の移動速度を調整できる自由度もある。負荷が小さく使いやすいこうしたインターフェースを開発することで、「1分間で40文字ほどの入力が可能になった」(吉藤氏)という。