メディアスホールディングスの池谷氏(右)とミタスの宮地氏
メディアスホールディングスの池谷氏(右)とミタスの宮地氏
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 医療機器・医療用具販売大手のメディアスホールディングスは2018年7月、北陸圏で医療機器・福祉介護用品販売を行うミタス(本社:福井市)と同社関連会社の3社を完全子会社化した。新たに3社が加わったことでグループ会社は13社となり、北陸エリアの営業基盤の強化を通じ、当面2000億円の売上を目指す。

 ミタスは福井、石川、富山の北陸3県で医療情報システムや画像診断機器、臨床検査機器など取り扱う総合医療機器ディーラー。関連会社に同エリアで循環器科および脳神経外科分野の医療機器販売を中心とするディーセンス(本社:石川県金沢市)、石川県を中心に医療機関や福祉施設への介護福祉機器販売・レンタルを行う石川医療器(本社:同県金沢市)を擁している。

 メディアスホールディングスとは2014年に業務資本提携を結んでおり、同社は2017年8月に完全子会社会化を決定していた。「ミタスは国内大手医療機器メーカーの製品をほとんど取り扱っており、福井県で5割近いシェアを持っている。メディアスグループの物流ノウハウやシステムを活用していくことでシナジー効果を生み出せる」。メディアスホールディングス 代表取締役社長の池谷保彦氏は、2018年7月3日のメディア向け事業戦略説明会でミタスの完全子会社による相乗効果をこう説明した。

 一方、ミタス 代表取締役社長の宮地修平氏は、メディアスグループに加わった経緯を次のように述べた。「業務資本提携という形で事業展開してきたが、一つの目標に向かって仲間としてやっていきたいという思いから経営統合に踏み切った。メディアスのノウハウやソリューションサービスなどにより仕入れ力や販売力強化が期待できる」。

メディアスブランドの強化

 池谷氏は今後の事業戦略として、(1)積極的なM&A、(2)メディアスブランドの強化、(3)海外市場展開、を3本柱として挙げた。

 メディアスホールディングスは、協和医科器械(静岡市)を母体に持株会社となって以降、栗原医療器械店(群馬県太田市)、ネットワーク(東京都渋谷区)、秋田医科器械店(秋田市)、ジオット(福島県郡山市)など各地の有力地場企業を子会社化する積極的なM&Aによって、東海から関東・東北へと拠点網を広げ、事業基盤の拡大を図ってきた。「人口減少や医療構造改革による病院数の減少で、医療機器販売業界の再編が進む。そうした事業環境の中で生き残っていくには、さらなるM&Aを推進し、一強体制を構築していく」(池谷氏)とした。

 同社は2013年にプライベートブランド「ASOURCE」(アソース)を立ち上げ、プライベート(PB)商品やソリューションのラインアップ拡充に取り組んでいる。医療用具・消耗品のPB商品群である「ASOURCE・SELECT」や、中小規模病院向けのSPDシステムの「ASOURCE・STORE」、約2600病院の医療材料購買価格のデータベース・分析サービスを提供する「meccul」(メッカル)、整形外科・循環器科領域の手術材料管理システムの「MORISS」(モリス)、手術室の医療材料管理や手術準備業務を支援する「SURGLane」(サージレーン)などのソリューションである。「価格競争の中で利益率確保のためにPB商品や専売品の商品拡充、販売強化を推進するなど、メディアスブランドの強化を図っていく」(池谷氏)。

 海外展開に関しては、既にインドに鴻池運輸との合弁会社を設立し、医療物流プラットフォームを構築している。長期的な戦略としつつ、国内市場の縮小を見越し、国内での販売ノウハウを生かした市場展開に取り組んでいくとした。

■変更履歴
記事初出時、「ディーセン」とあったのは「ディーセンス」でした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。