「聴覚の衰えは、認知症の危険因子と認められている。聴覚をしっかりケアすることは、ヘルスケアにつながる」(オーティコン補聴器 プレジデントの木下聡氏)――。補聴器は今、単に聴覚を補うだけのツールではなくなりつつある。難聴者の認知機能、さらには心身の健康を支援するツールとしての役割を担い始めた。

2016年7月5日の新製品発表会に登壇したオーティコン補聴器 プレジデントの木下聡氏(向かって右)と、Oticon社 オーディオロジー主監のThomas Behrens氏
2016年7月5日の新製品発表会に登壇したオーティコン補聴器 プレジデントの木下聡氏(向かって右)と、Oticon社 オーディオロジー主監のThomas Behrens氏
[画像のクリックで拡大表示]

 そうしたヘルスケアへの効用をうたい、デンマークOticon社日本法人のオーティコン補聴器が2016年7月5日に発売したのが、「Oticon Opn(オーティコン オープン)」。従来の補聴器の基本コンセプトだった“指向性”を取り払い、周囲360度の音を自然に聞こえるようにした補聴器だ(プレスリリース)。補聴器の「パラダイムシフトを演出しようという製品」(木下氏)である。

 日本では高齢化の進行に伴い、補聴器のポテンシャルユーザーは増えている。ところが、「難聴の人でさえ補聴器の利用率は13~14%にとどまる。大きなターゲットがあるものの、なかなか広がっていかないというのが補聴器市場の現状」(木下氏)という。健康寿命延伸につながるヘルスケアツール。そんな新たな役割を訴求するのが、今回の製品だ。