リハビリ成果を撮影動画で記録、モチベーション向上へ

 FileMaker を最新プラットフォームにバージョンアップして以降、FileMaker GoをインストールしたiPadを用いて、訓練模様を内蔵カメラで動画撮影・管理も行っている。撮影するのは、椅子から立ち上がって3メートル先の目印を回って再び椅子に座る動作(Timed up and go test:一連の動作時間を計測)と、テーブル上の積み木ブロックを手で移動する動作(同)など。入院時、1カ月後、退院時にそれぞれ撮影して機能回復を見るとともに、患者や家族に回復ぶりを見せるために利用している。

 「患者さんや家族にとって、リハビリを頑張ったこと、一定の機能回復を果たしたことは何よりの喜び。在宅移行後に自分で訓練するときの励みになります」(東田氏)といい、リハビリの成果を自己認識できる最適な方法だと話す。

 ビデオカメラで撮影して記録・保管している施設もあるが、FileMakerおよびFileMaker Go、iPadを利用すれば、内蔵カメラで撮影した動画ファイルはそのまま患者フォルダに保管できるため、記録・管理、再生が簡単にできるメリットがある。

入院時と退院前の動作動画でリハビリ成果を確認する患者と家族
入院時と退院前の動作動画でリハビリ成果を確認する患者と家族
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 ここでレポートした以外でも病棟や訓練室の様々な業務でFileMakerによる情報管理システムが利用されており、「FileMakerはリハビリ業務に不可欠となっています」(同氏)という状況だ。今後実現したい機能について東田氏は、無線LAN環境を見直し、院内どこでもiPadなどでFileMaker Goを利用できるようにすることと、毎日のリハビリスケジュール調整の効率化だと指摘する。

 患者1人1日6~9回の訓練室でのリハビリを、当日出勤している療法士ごとに割り振る作業は非常に手間がかかる。患者の1日のスケジュールは、食事や入浴、回診、検査、面会時間などもあり、食事直後の訓練は避けたいといった患者の希望を組み入れながら、複数のスタッフが手間をかけて調整を行っている。出来上がったスケジュールはFileMakerに入力して管理しているが、全体を見渡しながらの時間、担当スタッフの調整は、壁一面のホワイトボード上で行っている。

 東田氏は、「数名のスタッフが大画面モニターを見ながら調整したり、タッチパネル式の卓上大画面モニターなどで操作できるようになれば、アナログなホワイトボードを廃止できるかもしれません」と今後のシステムのさらなる改善に期待する。

■病院概要
名称:医療法人 道志社 小松島病院
所在地:徳島県小松島市田浦町近里83-11
開設:1987年6月
院長:福本常雄氏
診療科:内科、整形外科、リハビリテーション科、歯科
病床数:92床(全床回復期リハビリ病床)
職員数:203人
Webサイト:http://www.doushisya.jp/komatsushima/
主要導入システム:ファイルメーカー「FileMaker Pro、FileMaker Server、FileMaker Go」、Apple「iPad」