ルネサス エレクトロニクスは、血圧測定に必要なほぼすべての部品や機能をパッケージ化した「血圧測定評価キット」を開発した。参考価格は5万9800円(税別)。2018年5月10日に受注を開始する。
「通常は2~3カ月を要する、原理検証のためのプロトタイプ開発を省ける。これにより、血圧計の開発期間を短縮できる」。ルネサス エレクトロニクス インダストリアルソリューション事業本部 ホームソリューション事業部 ヘルスケアソリューション部部長の溝口誠氏は、今回のキットの特徴をこう語る。
血圧計は、既に日本では多くの家庭に普及している。今後は、中国などアジア地域を中心に市場が広がると見込まれ、ウエアラブル型など新しいタイプの血圧計の市場拡大も予想されている。今回のキットはこうした需要に向けて血圧計を開発したい企業の取り込みを狙ったものだ。
同キットは(1)血圧測定に必要なアナログ機能などを実現するマイコンを搭載した評価ボード、(2)圧力センサー、カフ(腕帯)、ポンプ、電磁弁、液晶パネルなどの周辺部品、(3)参照ソフトウエア、(4)GUI(Graphical User Interface)ツール、などから成る。血圧測定に必要なほぼすべての機能を実装しており、ユーザーは購入後すぐにシステムレベルの動作評価を開始できる。
評価ボードに搭載したマイコン「RL78/H1D」は、血圧計などのヘルスケア機器向けに新規開発したもの。高分解能A-D変換器やプログラマブルゲイン計装アンプ、D-A変換器、オペアンプなど、高精度な血圧測定に必要なアナログ機能を豊富に盛り込んだ。液晶ディスプレーを備えるアームタイプやリストタイプの血圧計に向けて、液晶コントローラ搭載のLQFP(Low-profile Quad Flat Package)パッケージ品を提供。ウエアラブル型を想定し、液晶コントローラを搭載しない小型BGA(Ball Grid Array)パッケージ品も用意した。
キットにはBLE(Bluetooth Low Energy)モジュールも搭載しており、測定データをスマートフォンに送信することも可能。こうしたデータ連携に向けたスマートフォンアプリも提供する。