国立がん研究センターなどは2018年3月14日、大腸がん患者を対象に、8Kスーパーハイビジョン技術(8K技術)を用いた腹腔鏡手術システムの臨床試験を開始した。同日、初めての症例となる40代女性を対象にした結腸がんの手術が行われた。

8K腹腔鏡手術システムを使った手術の様子(画像提供:国立がん研究センター)
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国立がん研究センターの塚本俊輔氏
国立がん研究センターの塚本俊輔氏
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 この手術を執刀した国立がん研究センター 中央病院 大腸外科 医員の塚本俊輔氏は、「きれいな映像で手術を行うことができ、手術の質が向上した」と語る。8K技術により、「髪の毛ほどの細さの血管も明瞭に見ることができたため、手術中の出血量はわずか5mLに抑えられた」(同氏)という。

 今回の臨床試験の開始は、国立がん研究センターの他、NHKエンジニアリングシステム、オリンパス、NTTデータ経営研究所が共同で発表したもの。日本医療研究開発機構(AMED)による「8K等高精細映像データ利活用研究事業」の支援によって開発した腹腔鏡手術システムを使用する。国立がん研究センターでは今後、2017年度に2例、2018年度に23例の手術を行う予定である。安全性や有用性を確認した後、先進医療での実用化を目指す。

8K腹腔鏡手術システムの全体像
8K腹腔鏡手術システムの全体像
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