「超音波は難しい」「きれいな画像がなかなか出ない」…。そんな悩みから解放され、医師だけでなく看護師や患者自らが超音波画像診断装置を使いこなす時代は、意外と近いかもしれない。

 スマートフォンのように、誰もが手軽に使える。そんな超音波画像診断装置(以下、超音波診断装置)の開発に力を入れているのが、東京大学大学院工学系研究科 機械工学専攻/バイオエンジニアリング専攻 教授の高木周氏だ。看護師や患者が自ら操作者となれる超音波診断装置の研究を進めている。超音波エコーを「在宅での病気の経過観察や早期発見に利用できれば、健康寿命延伸につながる」との思いからだ。

高木氏の講演の様子
高木氏の講演の様子
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 MRIやX線CT装置といった病院据え置き型の医療機器には「高度な技術が搭載されているが、誰もが使えるという点では超音波画像装置に最もポテンシャルがある。本質的に変化する可能性を秘めた技術だ」。高木氏はこう話す。

 東京大学COI拠点「自分で守る健康社会」の第3回シンポジウム(2016年3月2日、東京大学)に登壇した同氏は「超音波技術が切り拓く新しい健康医療の世界」と題して講演。超音波技術の医療分野への応用や、シミュレーションを駆使した超音波診断/治療技術への取り組みを紹介した。