2018年度診療報酬改定では、情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)に対して「オンライン診療料」「オンライン医学管理料」などの評価が新設される(関連記事1)。厚生労働省はこれを踏まえ、オンライン診療の適切な運用に向けたガイドラインづくりを進めている。

 2018年2月8日には「第1回 情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」を開催し、(1)遠隔診療(オンライン診療)の定義や名称、(2)遠隔診療を実施する際の必要性や安全性、有効性を担保するためのルール、(3)遠隔診療に関するガイドラインの策定、の3つを検討課題に定めた。ガイドラインについては、オンライン診療の適用基準や提供体制、教育や評価の方法などを検討していく考えだ。

「対面での状態把握は欠かせない」

 オンライン診療の安全性や有効性、ガイドラインの必要性については、臨床現場からも具合的な提言がなされつつある。福岡市医師会 常任理事/貝塚病院の庄司哲也氏が指摘するオンライン診療の論点は「適用条件」「提供条件」「診療計画」「セキュリティー」「教育」の5つである。

JTTA Spring Conference 2018に登壇し、5つの論点を指摘した福岡市医師会の庄司氏
JTTA Spring Conference 2018に登壇し、5つの論点を指摘した福岡市医師会の庄司氏
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 このうち適用条件については、患者の状態やITリテラシーを医師が総合的に判断したうえで、オンライン診療を適用するかどうかを決めることが大切だと指摘する。そのためにも、対面診療で患者の状態を把握することは欠かせないという。対面診療の重視は、2018年度診療報酬改定でも強調される点だ。

 提供条件については、オンライン診療では医療の提供主体や実施場所が柔軟になり得ることから、そのマイナス面が心配されるという。すなわち、診療行為の拡大解釈による悪用や医療の質の低下が懸念される。それを防ぐにはガイドラインなどによる規定が必要になる。

 診療計画に関しては、対面診療とオンライン診療をどう組み合わせて治療するかについて、医師による事前の計画と患者の同意が欠かせないと指摘している。実際、診療計画の作成は2018年度診療報酬改定におけるオンライン診療料などの算定要件の一つともなった。