政府は2018年6月15日、「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針2018)」と「未来投資戦略2018」を閣議決定した。骨太の方針2018では、介護など人手不足が深刻な五つの業種を対象に外国人人材の受け入れを拡大する方針を表明。在留期間の上限を通算5年(家族の帯同は原則認めない)とする新たな在留資格を創設する考えを記した。

 介護の技能実習制度では、1年目までに基本的な日本語を理解できることなど、日本語能力に関する要件が定められている。これを緩和し、入国1年後に日本語要件を満たしていなくても在留を可能とする考えを示した。また、在留期間中に一定の試験に合格し、高い専門性を有すると認められれば、在留期間に上限を設けず、家族の帯同も認める措置を検討する方針を記した。

 財政健全化目標については、プライマリーバランスの黒字化を従来から5年先送りし、2025年度の達成を目指す。高齢化により増加が見込まれる社会保障関係費の伸びに対する数値目標の設定は見送った。

 そのほか、働き方改革の実施、医療・介護・福祉従事者の業務負担の見直しや効率的な配置、介護経営の大規模化・協働化などを推進する考えを提示。加えて、地域医療介護総合確保基金を活用し、国・地方自治体・関係団体が一体となり高齢者の介護分野への参入を促す考えを明らかにした。また、医療費・介護費の地域差縮減に向けて、都道府県の保険者機能を一層強化する考えも示した。

 未来投資戦略2018では、データや技術革新を積極導入・フル活用し、2020年度から個人・患者本位の新しい『健康・医療・介護システム』の本格稼働を目指す方針を提示。医療機関等の間で個人の健診・診療・投薬情報を共有できる全国的な保健医療情報ネットワークの本格稼働に向け、今夏をめどに具体的な行程表を策定するとした。