九電工の羽賀靖・事業開発部長(左)、橋本重広・事業開発部 再生エネルギー開発グループ長(右)
九電工の羽賀靖・事業開発部長(左)、橋本重広・事業開発部 再生エネルギー開発グループ長(右)
(撮影:日経BP)

 2016年4月に起きた熊本地震は、日本に大規模な太陽光発電所が本格的に導入され始めて以降、初めての大地震となった。九電工は、九州で多くの太陽光発電所の運営、EPC(設計・調達・施工)・O&M(運用・保守)サービスを手がけている。同社の羽賀靖・事業開発部長、橋本重広・事業開発部 再生エネルギー開発グループ長に、今回の地震による太陽光発電所への影響のほか、今後の太陽光発電関連事業の展望などを聞いた。

――熊本地震による太陽光発電所への影響を教えてください。4月19日には、九電工グループが運営している被災地域に立地する太陽光発電所について、特に不具合は発生していなかったと発表しています(関連ニュース1)。

 太陽光発電所に関しては、グループで運営している発電所だけでなく、EPCサービスを手掛けたり、O&Mを担っている発電所についても、ほぼ影響を受けませんでした。

 土地に若干の影響を受けた発電所が、数カ所ありました。また、地震による停電にともなうパワーコンディショナー(PCS)の単独運転防止機能の起動などによって、発電を一時的に停止した発電所もありました。しかし、損傷などによって発電を長期間、止めるような影響はありませんでした。

 九州電力の要請によって、数日間、運転を止めた太陽光発電所はあります。被災した送配電線の復旧作業の間、太陽光発電所から電気が逆流してくると、重大な事故につながるためです。

 停止の要請を受けた地域は、震度7の地震の震源地となった益城町や、その近隣で、地震発生後の数日間でした。

 今回の地震では、電力網の上位系統が寸断され、変電所から送電できない状況に陥りました。そのため、一時的に、全国の電力会社から合計約160台の高圧電源車を集めて送電線につなぎ、電気を送ることで対処していました。

 九州電力からの要請は、対象となる太陽光発電所のPCSが停止していた状況で受けました。このため、断路器で送電網から切り離しました。その上で、PCSもそのまま再起動しない状況を続けました。

――道路が寸断されたような場所に立地していた発電所もありましたか。

 O&Mを担当している太陽光発電所の中には、そうした場所もありました。このような場合、様々な理由から現地の確認が遅れました。道路が十分、通行できなかったり、O&Mを担当している社員の自宅が被災しているといった状況だったからです。