多様な人材が生む開発手法

――日本における強みや特徴は、どのような点にありますか。

 まず、太陽光発電関連の専業であることです。日本でトップクラスの開発実績を持つ企業の1社となっています。日本の同水準の規模を開発している事業者は、リースや通信、商社などが本業で、太陽光発電は副業に過ぎません。

 それに比べて、カナディアン・ソーラーは太陽光専業で、しかも世界的に高い競争力を持ちます。経営資源の100%を太陽光発電やパネル製造に向けています。

 国内でプロジェクトを開発している日本法人も、すべての経営資源を太陽光発電所の開発・運営に注いでいる専業企業です。2012年に日本で開発をはじめてから、約20カ所のプロジェクトで必要な認可などを取得済みで、かつ、資金調達まで完了していることでも、企業として力を示せていると思います。

 年月を経るごとにパイプライン(開発中のプロジェクト)は積み上がり、その施工に際して自前のパネルを使えます。

 バンカビリティ(投資適格性)の高さも、強みとなっています。カナディアン・ソーラー本体はもちろん、日本でも質の高いプロジェクトの実績から、より有利な条件でファイナンスを実現できています。例えば、プロジェクトボンドで資金調達した、初めての外資系企業となっています。

――カナダで培った経験を、日本でどんな形で生かしていますか。

 プロジェクト開発において、フロントエンド(上流)に位置する、開発計画の立案、ファイナンス、設計・施工などは、カナダでの経験を生かしています。

 そこに、日本の特徴を加味しています。例えば、土地の確保、設備認定の取得、連系協議といった地域特有の専門知識が必要な部分、さらに、日本の地形や風土に合った施工の手法も取り入れています。

 設計・施工については、日本にも担当チームを置いていますが、実際の業務は日本のEPC(設計・調達・施工)サービス事業者に委託しており、その監理を担います。

 日本で在籍する約90人の多くは、日本人です。次に多いのが、海外出身の日本在住経験者や、日本人と結婚している海外出身者です。海外からの赴任者は1割程度です。本社だけでも、12カ国の出身者が従事しています。

 このような人材の多様性による強みもあります。課題解決へのアプローチも多様になり、多くの手法の中から、望ましい形でプロジェクトを開発できます。

 業務別では、不動産関連や業務管理などは、日本人が多くを担っています。EPCの監理は、海外と日本の混合度が高い業務です。海外出身の太陽光発電所の開発経験者もいれば、技術部長は日本人の大手ゼネコン(総合建設業)出身者といったように。