次世代パネルの効率は17.8~18.2%

FS 結晶シリコン系太陽電池は数十年間にわたって研究され、変換効率の向上余地は限られています。一方、薄膜太陽電池は本格的に研究を始めて5年程度です。まだまだ伸びる余地は大きいはずです。

 2012年から2016年の5年間で変換効率の向上度合いを比較しても、結晶シリコン系は量産パネルのベースで1年間に0.25%しか上がっていませんが、ファースト・ソーラーの薄膜太陽電池は1年間で平均で0.8%向上しました。

――来年以降に量産する次期量産パネル「シリーズ6」は、どの程度の効率になりますか。

FS 次世代パネルの「シリーズ6」は、変換効率17.8~18.2%を想定しています。シリーズ6の特徴は、効率アップと大面積化による設置効率の向上を両立したことです。

 現在、製造している「シリーズ4」の寸法は、縦60・横120cmの細長い長方形です。結晶シリコン系パネルに比べると3分の1ほどの大きさのため、施工時の設置効率が課題でした。そこで、当初、「シリーズ5」として、「シリーズ4」を3枚に連結したタイプを製品化する予定でした(図1)。

図1●「シリーズ5」を飛ばして「シリーズ6」を投入する
図1●「シリーズ5」を飛ばして「シリーズ6」を投入する
(出所:ファースト・ソーラー)
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――液晶パネルもそうですが、薄膜デバイスでは、製造コストを下げるために大面積化すると、品質の安定化が難しくなります。小型のパネルを3つ連結するのは、苦肉の策のようにも思えます。施工時の設置効率は高まりますが、製造コストは下がりません。

FS 薄膜技術の大面積化には、多くのメーカーが苦しんでいます。サブリメイション(昇華法)やスパッタリング(気相成長法)など、従来の薄膜製造法では、基板上に均質に半導体材料を形成するのに課題があります。大面積化すると、どうしても膜形成が不均質になり、歩留まりが下る傾向がありました。

 ファースト・ソーラーでも、大面積化の量産技術に取り組んできましたが、商用生産には時間がかかると判断し、3枚の小パネルを連結した「シリーズ5」の後に、大面積化パネルである「シリーズ6」を製品化する計画を立てていました。