中国の太陽光パネルメーカーであるジンコソーラーホールディング(JinkoSolar Holding)は、2018年も2017年に続いて世界シェアトップに立ったとみられる。アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国における出力約1.177GWの「ギガソーラー」や、メキシコにおける同750MWなど、世界各地の巨大プロジェクトに参画し、発電コストの低下を牽引している。同社の銭晶(Dany Qian)副社長に、世界と日本における現状や今後について聞いた。

中国ジンコソーラーホールディング(JinkoSolar Holding)の銭晶(Dany Qian)副社長
中国ジンコソーラーホールディング(JinkoSolar Holding)の銭晶(Dany Qian)副社長
(撮影:日経BP)

――世界での2018年の販売実績について、教えてください。

 現時点では、決算(3月上旬に発表予定)に向けた集計中のため、暫定値となりますが、出荷量は約11.6GWとなる見通しです。2017年の約10GWから増え、2018年の当初予想の約11.5GWも上回りました。

 これによって、2017年に続いて、出荷量で世界シェアトップとなる見通しです。2位となるメーカーの出荷量は、おそらく約8GWと推測しています。2位に3GW以上の差をつけたトップとなると予想しています。

――以前のインタビューでは、自社の太陽光パネル生産能力は、年約9GWとしていました。出荷量が伸びた背景には、生産設備の増強もあるのですか。

 自社の生産能力は、2018年時点で年約10GWとなっています。不足分は、OEM(相手先ブランド製造)を活用しました。

――中国の中央政府が2018年5月末に発表した政策変更によって、中国の太陽光発電設備の新設市場は、当初の予想に比べて、大幅に下がるとの予想もありました。その中で、出荷量が前の年に比べて減らず、逆に増えたのはなぜですか。

 中国の中央政府による政策変更は、太陽光発電に関連する中国のすべての企業に影響を与えました。しかし、その影響の度合いは、それぞれの企業の事業モデルや販売先の傾向などによって大きく変わります。

 われわれの場合、中国だけでなく、世界各地に広く拡販できていることによって、政策変更の影響が他社に比べて小さく済みました。

 出荷量全体に占める中国向けの割合は15~20%に過ぎず、相対的に低いのです。これに対して、他の中国メーカーの場合、中国向けが60~80%などと高いことが多いと見ています。こうした企業に比べると、影響を受けにくい企業体質になっていました。