省エネ支援から再生可能エネルギー開発などを手掛ける洸陽電機(神戸市東灘区)は、岩手県滝沢市に無制限・無補償の出力抑制が条件となるメガソーラー(大規模太陽光発電所)「滝沢市太陽光発電所」を着工したほか、すでに買取価格24円/kWhの太陽光発電所を竣工している。いずれもファイナンスに成功した上で事業推進となる。洸陽電機でメガソーラー開発を担う伊藤靖常務に聞いた。

洸陽電機の伊藤靖常務
洸陽電機の伊藤靖常務
(出所:日経BP)

――洸陽電機は、もともと省エネ関連のベンチャー企業でしたが、これまでに太陽光分野でも、EPC(設計・調達・施工)として90MW以上の施工に加え、自社発電事業として100MW以上を手掛けています(開発中含む)。2012年当時、売上高30億円に満たなかった企業規模で、どのように自社発電所のための資金を調達したのですか。

信託スキームで「自社」発電所に

伊藤 「自社事業」の太陽光が100MW以上という言い方をしていますが、正確に言うと、「売電収入から借入金や手数料などを払った後、最終的に残る配当を受け取れる事業」も含めて「自社発電所」と呼んでいます。法形式的には他社が設備を所有するオペレーティングリースや信託スキームによるプロジェクトファイナンスなどです。

 逆にこうしたスキームにすることで、バランスシート(貸借対照表)上、オフバランス(資産・負債に計上されないこと)になるなど、十分に資本力のないベンチャー企業でも、スピーディーにここまでの規模の発電事業を開発・運営できました。

――高度なファイナンススキームを駆使した上でメガソーラー発電事業に参入したということですね。一般的に資本力に乏しいベンチャー企業が多くのメガソーラー発電を手掛ける場合、プロジェクトごと売却したり、開発規模を大きくしてSPC(特定目的会社)の共同出資者の1社として参加し、プロジェクトファイナンスを組成することが普通です。

伊藤 開発した案件を他社に売って単に施工を担う一時的な事業ではなく、20年間売電収入を受け取れる仕組みを模索しました。洸陽電機の株主でもある新生銀行などが、メガソーラー参入当初から、ファイナンス手法から融資までバックアップしてくれました。そのなかで、新生銀行グループの新生信託銀行を運営事業主体とし、洸陽電機を受益権者とする信託スキームの提案を受けました。