2017年のメガソーラー(大規模太陽光発電所)分野の市場は、縮小傾向の続く住宅・ミドル(500kW未満)分野に比べ、堅調に推移しそうだ。新認定制度への移行分が60GW程度になった場合、2020年程度まで、現在の導入水準が続く可能性もある。また、技術面では、直流1500V設計への動きがいよいよ本格化する。

パネル出荷ベースで9GW程度に

 国内太陽光発電の導入量を巡っては、いくつかの数値がある。実績値として確定している2015年については、経済産業省の公表した同年の新規導入量は約9.8GW。これに対しJPEA(太陽光発電協会)の国内パネル出荷統計は約7.9GWとなっている。

 経産省の統計は、連系出力ベースなので、連系出力以上にパネル容量を積み増す「過積載」を考慮すると、2015年のパネル出荷量は11GW程度だったとの見方も有力だ。

 JPEAの国内出荷統計が経産省による実際の導入量より小さくなっているのは、調査対象のカバー率が下がっているからだ。背景には、調査対象に入っていない中堅の海外メーカーによる日本へのパネル出荷が増えていることがある。各種統計データから推測すると、JPEAによる集計値のカバー率は7~8割程度に下がっていると見られる。

 ただ、JPEAの統計から、2015年と比較した2016年における規模別の増減トレンドは読み取れる。それによると住宅用は約1.5GWから約1.1GW、ミドルサイズ(10kW以上500kW未満)は約2GWから約1.1GWに大幅に減少しているのに対し、500kW以上のメガソーラー(大規模太陽光発電所)は1.5GW程度を維持しそうだ(図1)。

図1●JPEAの国内パネル出荷統計の推移
図1●JPEAの国内パネル出荷統計の推移
(出所:JPEA公表値を基に日経BP作成)
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 JPEAの統計では住宅用とミドルで合計1.5GW程度減少、メガソーラーが横ばいとなり、このトレンドを経産省の公表値に当てはめてみると、2016年の市場規模は、全体では連系ベースで8.5~9GW、パネル出荷ベースで9.5~10GW程度になったと推測できる。

 工事期間の短い住宅、ミドルがすでに買取価格低下の影響を受けているのに対し、計画から完成まで長く、未着工案件の多いメガソーラー分野は堅調に推移している。

 2017年についても、この傾向が続きそうだ。高圧・特別高圧案件を主体にしている施工事業者や部材メーカーの多くは、「受注残も多く、ここ数年は、同じ水準を維持できる」との声が多い。メガソーラー分野は横ばいで推移するとすれば、市場規模は住宅とミドルの動向に左右される。同分野が現在のトレンドでさらに縮小すると、市場全体は、連系ベースで8GW、パネル出荷ベースで9GW程度に縮小することになる。