――経産省の再エネ導入促進関連制度改革小委員会では、適切な点検・保守を規制的な手法で徹底する方向も示されました。ただ一方で、行政コストとの兼ね合いが議論になりました。規律的な措置に行政コストをかければ、社会コストが上がります。

植松 その課題もあります。建築の場合、以前は、都道府県庁や各地の建築センターなどしか、審査できませんでした。現在では、認定は県庁や建築センターで受けなければなりませんが、建築確認の審査は民間でも可能になりました。制度のすべてを役所が担う必要はないのです。

――電気関連に関しては、現在でも、連系出力に応じた電気保安のあり方が定められています。同様に、構造物に関しても、該当する専門家に、一度は確認してもらう仕組みをつくる考え方もあります。

植松 難しいことではないと思います。しかも、太陽光発電設備は、普通の建物に比べて、構造はシンプルです。

――日本風工学会の「太陽光発電システム風荷重評価研究会」では、どのような活動をしていますか。

東北大学 大学院 工学研究科の植松教授
東北大学 大学院 工学研究科の植松教授
(撮影:日経BP)

植松 大学や産業技術総合研究所の研究者、企業の関係者など約20人が集まり、2015年度は「太陽光発電システム台風設計マニュアル(仮称)」の案を作成しています。太陽光発電協会(JPEA)にも協力してもらっています。

 JIS規格の改定作業とは別に、風工学の立場から、実際の設置環境に即し、どのように風荷重を評価すべきか、また、どのように構造をチェックすべきかなど、太陽光発電設備の合理的な耐風設計法の確立に取り組んでいます。2015年度中に素案を固め、2016年度に精査し、公開する予定です。