パネルを撤去して里道を回復

 是正工事の終わったメガソーラーを訪れてみると、まず、広々とした遊歩道の入り口が目に入る。ここは、是正工事の前には、鉄製の門扉で締め切られ、「これより先は私有地です。ご用の方は下記へ連絡下さい」との看板がフェンスに張られていた(図5)(図6)。

図5●復旧した里道の入り口
図5●復旧した里道の入り口
(出所:日経BP)
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図6●是正工事前の様子。里道が扉とパネルで寸断されていた
図6●是正工事前の様子。里道が扉とパネルで寸断されていた
(出所:日経BP)
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 新たに建設した遊歩道は、もともと人が行き来する「里道」だった。里道は、市の所有する公共の道で、メガソーラー用地をほぼ縦断する形で約270mにわたって通っていたが、最初の工事によって寸断されていた。フジ建設が当初、提出した是正計画書では、発電施設を迂回する形での里道復旧を意図していた。だが、あくまでも原状回復を求める市に意向に沿う形で、複数のパネルを撤去した上で、もとの位置に復旧した。

 復旧後は、門扉は設けず、「公共の道」として、市民が自由に往来し、「海上の森」に行けるようにした。メガソーラー内の里道を通り、谷戸を超えると、海上の森の中でも、落葉広葉樹の多い「恵みの森」が広がっている。

 復旧した里道はパネルに挟まれ、発電所をほぼ縦断するような配置になった。その結果、もともと1つの敷地にあったメガソーラーは、里道を挟んで2つのエリアに分かれることになった。里道には、人が往来するため、道に沿ってフェンスも増設した。

 里道は2mほどを確保し、さらにその両側に幅6mほどの緑地帯を設け、広葉樹の苗木を植えた(図7)。緑地帯は、開発区域の外周にも幅8m程度を施工した。これにより、緑化率は、森林法の求める25%を上回る35%まで高まったという。

図7●里道に面して緑地体を新設した
図7●里道に面して緑地体を新設した
(出所:日経BP)
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 回復した里道には、ウッドチップが敷かれており、雑草を防ぎつつ、人が歩きやすくなっている。回復した里道を南に進み、木の板を渡した橋を使って谷戸を超えると、海上の森につながる里道につながっていく。是正工事の前まで、元々あった里道が分断されていたことがよくわかる(図8)。

図8●里道は谷戸の木橋を渡って森に通じる
図8●里道は谷戸の木橋を渡って森に通じる
(出所:日経BP)
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