関心を集めた「直下率」

 2階は比較的、損傷が少ないように見えるものの、1階は大きく損傷している住宅も目立った(図6)。2階の屋根に設置されている太陽光パネルも、損傷は少ない。

 
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図6●1~2階の壁の面や柱の位置で被害が異なる
図6●1~2階の壁の面や柱の位置で被害が異なる
益城町宮園の住宅(出所:PV-Net)
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 熊本地震で一般にも知られるようになった設計用語に「直下率」がある。1階と2階の柱や壁の位置が合致している割合を意味し、この割合が高いほど、揺れに強い。耐震性の高さを示す重要な指標となっている。

 PV-Netによると、直下率の高さは、太陽光発電システムの安全にも直結するという。

 2階はほとんど損傷していないように見える状態で、1階を押しつぶすように倒壊した住宅も多い(図6右下)。1階の多くの部分を駐車スペースとし、壁や柱が少ない直下率の低い構造の住宅で、こうした倒壊が多く見られた。

 一方、住宅メーカーによる建屋で、壁面が多く、直下率の高い場合、損傷が少ないように見えた(図7)。

 
図7●住宅メーカーによる壁面が多く直下率の高い住宅
図7●住宅メーカーによる壁面が多く直下率の高い住宅
比較的、損傷が少ない(出所:PV-Net)
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 屋根上に、地上設置型のような傾きの大きい架台を取り付け、太陽光パネルを設置している住宅でも、太陽光パネルの損傷は少なかった(図8)。

 
図8●屋根上に架台で傾けたパネル
図8●屋根上に架台で傾けたパネル
比較的、損傷が少ない(出所:PV-Net)
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 太陽光パネルの枚数が少ない屋根もある(図9)。この場合、損傷した後に発電が続いたとしても、電圧・電流ともに低く、火災や感電といった二次災害に対して、比較的安全と考えられるとしている。

 
図9●1~数枚のパネルによる小規模システム
図9●1~数枚のパネルによる小規模システム
二次被災の恐れは少ない(出所:PV-Net)
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(次回は、3月23日に掲載予定)