熊本地震でも損傷せず
ただし、これまでにいくつかのトラブルなども経験している。まず、2016年4月に発生した熊本地震である。
この地震によって、発電事業者の個人農家は、自宅が全壊した。しかし、営農型の太陽光発電システムは、一部の基礎がわずかにずれるといった現象は見られたものの、損傷はなかった。
コンクリート基礎は、基本的に800×800×250mm、強い風圧を受けやすい外周は1500×1300×250mmと、厚みが比較的少なく、面積が広い。
これは、埋蔵文化財包蔵地に含まれる土地のため、基礎工事の際、地面を深く掘れないことから工夫した工法だった。営農時にトラクターの刃が掘るのと、同じ程度の深さに抑える必要があり、面積を広げて耐久性や強度を確保した。
この基礎で、農作業を考慮して柱の間をできるだけ広げ、かつ、少ない柱の本数で構成した。
熊本地震の後、水平方向に最大で数cm、ずれた跡が見られる基礎が一部にあったものの、屈強な基礎と架台で構成した甲斐があり、損傷しなかったという(図2)。
柱や筋交い、それらを止めているボルトなどは、すべて状態を確認し、一部、地震の影響によると推測される緩みが見られたボルトは、締め直した。