「パフォーマンスレシオ」を試行的に導入

 見学者「稼働後の発電状況はどうですか」

 説明員「設計時に想定した予想発電量に比べ、稼働1年目は2割程度も上振れするなど好調でしたが、今年は夏場に雨が多く、昨年の実績を下回りそうです」

 見学者「太陽光発電の性能は、天候に左右されるため、評価が難しいですね」

 説明員「そこが課題になっています。そこで、日射計を2台、気温計を1台設置し、日射量と気温から本来、出力できる発電量を算出し、実際の発電量と比較するパフォーマンスレシオ(PR)という指標を試行的に導入しています。100%なら正常ということになります。これまでのところPRは100~90%で推移していますが、日射量が多く発電量が増えるほど下がる傾向があり、なぜ、そうなるのか分析しているところです。PRの手法もまだ確立されたものではなく、試行錯誤しているのが実態です」

 見学者「最も多く発電する時間帯や季節はいつごろになりますか」

 説明員「1日の中ではお昼前後、特に11~12時がピークになります。季節では4~6月の春に発電量が最も増えます。夏は日照量が多いのですが、暑過ぎてパネルの温度が上がるため、ロスが増えます。太陽電池は温度が高いと変換効率が落ちる性質があります」

 見学者「秩父には雷が多いようですが、影響はありますか」

 説明員「実は、当初、避雷針を設置することも検討しましたが、隣接する建物に避雷針があり、見送りました。これまでのところ、直接、発電所に雷が落ちたことはありません。ただ、接続している送配電線が被雷し、その影響でPCSが停止したことが2回ありました。周辺に落ちた雷により瞬間的に発生する過電圧や過電流から設備を保護するSPD(雷サージ防護デバイス)を電線や通信線に設置しているため、設備自体が損傷することはなく、再稼働すれば平常に戻ります」

 見学者「雪が積もった場合、どうなりますか」

 説明員「建設計画中の2年前、秩父に1mの積雪があったため、当初の計画より、地面からパネル最低部までの設置高を少し高くし、最大1m程度の雪が降っても、重みに耐えられる設計にしました。もちろんパネルの上に雪が載っていると発電できませんが、晴れて発電を始めると雪が解け始め、短時間に流れ落ちます」(図4)(図5

図4●接続箱の扉を開け、内部の仕組みを解説
図4●接続箱の扉を開け、内部の仕組みを解説
接続箱は昭電製(出所:日経BP)
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図5●筐体の扉を開けて中にあるパワーコンディショナー(PCS)を見学
図5●筐体の扉を開けて中にあるパワーコンディショナー(PCS)を見学
PCSはTMEIC製の500kW機(出所:日経BP)
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