メガソーラーと共栄できる有用植物

 ハマナス以外にも、実を付ける複数種の植物を植えたことに関し、藤原教諭は、「植物の勉強のほか、沿岸部に広大なメガソーラーが建設されるなかで、太陽光パネルと共存できる有用な植物を探索する狙いもある」と話す。

 「ほあんソーラー」緑地帯への植樹では、細かい瓦礫の混ざった表土は除いたものの、新たに客土をせずにハマナスの苗木などを植えた。津波被災地では、土壌中に残った塩分の影響が課題になるが、「もともと海岸沿いに自生するハマナスは、塩分に耐性があり、雑草に対してもある程度強く、ほとんど手間をかけずに根付いた」(藤原教諭)という。

 ハマナス以外に植え付けた有用植物の苗に関しても、アケビとサルナシのほかは順調に根付いているという。

 メガソーラーは、完成してしまうと、地域とのつながりが深まらないことが課題になる。低木で沿岸地域の土壌に根付けば、メガソーラーの敷地内や隣接地で共存共栄できる可能性がある。花と実を仲立ちに地域社会との交流や地場産業などと連携できる道も拓ける。

 「ほあんソーラー」と「植樹園」は、メガソーラーを管理する技術者の育成に加え、「花と実で地域社会を元気にする」新たな手法を発信する場にもなりそうだ(関連記事)。

設備の概要
発電所名「技術研修用太陽光発電所」
(愛称:「相馬野馬追の里 ほあんソーラー」)
住所福島県南相馬市原町区泉字前向地区
発電事業者一般財団法人・東北電気保安協会
土地所有者南相馬市
敷地面積1万9761m2(設置面積:1万1690m2
緑地帯の運営南そうま福幸植樹会
出力太陽光パネルの容量・約728kW、連系出力・約583kW
年間予想発電量約79万kWh
EPC(設計・調達・施工)サービスユアテック
O&M(運用・保守)一般財団法人・東北電気保安協会
太陽光パネルソーラーフロンティア製CIS化合物型(160W/枚・1960枚)、シャープ製単結晶シリコン型(255W/枚・1624枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(定格出力250kW)、ダイヘン製(同333kW)
単独運転検出装置日新電機製
起工式2014年11月7日
連系開始日2015年7月10日
売電単価32円/kWh