電験三種に合格し電気主任技術者に

 常駐しているのは、阿波西ソーラーヒルズ発電所・保安係長の岡本浩一さんだ。岡本さんは、地元出身だが、就職で故郷を離れ、電気設備を管理する仕事に就いていた。そろそろ故郷に戻りたいと考えていたものの、地元には職がないのでとどまっていた。そんな時、電気設備を管理していた経験を買われ、メガソーラー設備の保安業務を担当して欲しいと誘われ、引き受けることにした。

 毎日、発電所に出勤して敷地内を見回り、太陽光パネルなどの設備を点検し、日報を付ける。そして月1回、約40項目の点検結果を発電事業者であるハンファエナジージャパンに提出している(図2)。

図2●阿波西ソーラーヒルズ発電所・保安係長の岡本浩一さん
図2●阿波西ソーラーヒルズ発電所・保安係長の岡本浩一さん
(出所:日経BP)
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 岡本さんは工業高校を卒業後、電気工事士の資格を持っていたが、メガソーラーの保安員に就いてから、独学で電験三種の試験に合格し、第三種電気主任技術者となった。現在、第二種、第一種の取得を目指し、より専門的な電気の知識を身に着けるために徳島大学 理工学部 夜間主コースに通いながら、四国GAの社員としてメガソーラーを管理している。

総出力10MW分のO&Mを担う

  実は、ハンファエナジージャパンは、「阿波西ソーラーヒルズ発電所」に続き、隣接地や周辺に5つのメガソーラーを稼働または、建設している。今年11月にすべて完成すると、6サイト合計で、連系出力約9MW、太陽光パネルの設置容量で約10MWに達する。これらは、すべて四国GAが事業開発を手掛けた案件で、完成後のO&Mも担当する。

 最初の稼働となった「阿波西ソーラーヒルズ」から、常駐の保安員を置いたのも、こうしたメガソーラーのO&M事業の拡大を睨んでいたからだ。

 これまでに「阿波西ソーラーヒルズ」のほか、同じ阿波町東長峰に連系出力1MWのサイトが2カ所と0.5MWのサイト、少し離れた阿波町西長峰に1.89MWのサイトがあり、すでに稼働している(図3)。また、東長峰に隣接した阿波町中長峰に連系出力2MWと0.75MWの2カ所のメガソーラーを建設中で、11月に運転を開始する。

図3●阿波町西長峰に稼働した1.89MWの「ハンファソーラーパワー西長峰」
図3●阿波町西長峰に稼働した1.89MWの「ハンファソーラーパワー西長峰」
(出所:日経BP)
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 東長峰と中長峰に、5つの高圧連系案件が隣接することになったのは、本来、特別高圧連系になる案件を意識的に高圧分割したわけではなく、土地確保などの都合で認定申請の時期が異なってしまったからという。その結果、売電単価は、「阿波西ソーラーヒルズ」の40円/kWhのほか、36円/kWhと32円/kWhが混在している。接続する高圧配電線は、複数の6.6kV系統につなぎ込む形になっている。

 「阿波西ソーラーヒルズ」以降に着工した6サイトは、三和電気土木工事(大阪市)がEPC(設計・調達・施工)サービスを担当した。太陽光パネルは、ハンファQセルズ製、パワーコンディショナー(PCS)はすべて東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。架台については、「阿波西ソーラーヒルズ」では杭基礎にアルミ製架台を設置したが、ほかの6サイトはコンクリート製の置き基礎に鋼製架台を装着した(図4)。

図4●コンクリートの置き基礎を採用した
図4●コンクリートの置き基礎を採用した
(出所:日経BP)
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