古墳は当初の情報より一つ多く、直径も広い
メガソーラーを開発する前は、林の中に古墳が点在している状態だった。林地の外からは見えにくく、その存在を知らなかった近隣住民もいたようだ。これらの古墳には、地方の豪族が葬られたと推測されている。
開発前から古墳が点在していることは把握されていた。そこで、古墳をフェンスで囲むなど、文化財としての保護に配慮して開発した(図2)。東金市の教育委員会が、それぞれの古墳の範囲を確定してから、最終的な設計を決めた。
当初、大まかに得られていた情報と、実際の古墳の状況が異なる部分もあった。このため、最初の計画から、配置を大きく変えた部分もある。
まず、古墳の数が、一つ多いことが分かった。当初得ていた情報では6カ所だったが、教育委員会による新たな調査などで7カ所と分かった。
さらに、遺跡として残すべき範囲が、当初の情報よりも大きくなった古墳もあった。直径約5mを想定していたが、実際は直径約30mまで広がっていた古墳もあった。
こうした“新発見”により、太陽光パネルの設置面積は、当初の想定よりも約1万m2少なくなった。予定していた枚数のパネルを設置できない恐れが出てきた。
そこで、メガソーラー全体の設計を変更した。その1つが調整池である。これは、大雨の際に、一時的に水を貯めて周辺地域への排水を抑制するためのものだ。
当初は、敷地の北側に、太陽光パネルを置かない場所を設定し、そこに調整池を設ける設計としていた。
この案を変え、北側の場所にも太陽光パネルを並べる代わりに、敷地の中央付近から南端に向けて外周に堤を設け、太陽光パネルを設置した場所を、大雨の際に、一時的に水が溜まる場所として使うことにした(図3)。この堤は、通路も兼ねている。
太陽光パネルのある場所を貯水池として使うことから、大雨の際、基礎の一部は、水に浸かることになる。
古墳の保護策では、発電設備を設置しないことはもちろん、周囲にフェンスを張って隔離しているほか、表土の上にウッドチップを敷いている(図4)。