日本初の「夜間売電型」メガソーラー

 林建設は今年2月1日、伊佐市大口太田の市有地に、同社として2カ所目となるメガソーラー「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」を稼働させた(図8)。これは、大型蓄電池を併設した、日本初の「夜間売電型のメガソーラー」となった。

図8●「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」
図8●「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」
(出所:林建設)
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 太陽光パネルの設置容量は約1.2MW、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力は1MW、Liイオン蓄電池の容量は6.5MWhとなる(図9)。

図9●Liイオン蓄電池の容量は6.5MWh
図9●Liイオン蓄電池の容量は6.5MWh
(出所:日経BP)
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 運用は以下になる。夜明けから日中の午後6時までは、太陽光パネルからの発電電力の全量を蓄電池に貯め、夕方の午後6時から夜の午後12時までの6時間で蓄電池から放電し、充電電力の全量を九州電力の系統に送電する。この送電には、FITが適用され、買取価格36円/kWhで売電する。

 今回のプロジェクトは、2013年9月に伊佐市が遊休市有地を活用した太陽光発電事業に取り組む事業者を公募し、林建設が選ばれたもの。

 同発電所が、「夜間売電型」の売電パターンとなったのは、九電のローカル系統に余裕がなく、上位系統の増強に要する工事費負担金が43億~63億円という高額な見積もりになったことが背景にある。

 林建設が公募に採択され、造成工事が完了し、太陽光設備の基礎工事に着手した時点で、こうした高額の工事費負担金を九電から提示された。これを受け林建設は、九電に対し、蓄電池設備を併設して、送電時間を変更することで、系統工事なしで連系できないか交渉し、系統接続の個別協議を申し込んだ。