DICは、1908年に印刷インキの製造・販売で創業した化学メーカーの老舗。有機顔料と合成樹脂の技術をベースに事業分野を拡げるとともに、グローバル展開が進んだことから、2008年に大日本インキ化学工業から、DICに商号を変更した。

成長しながらCO2の排出削減

 国内に9カ所となる工場のうち、茨城県神栖市にある鹿島工場では、有機顔料などを生産している(図1)。

図1●DIC鹿島工場全景(メガソーラー設置前)
図1●DIC鹿島工場全景(メガソーラー設置前)
(出所:DIC)
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 鹿島工場では、2018年1月26日、出力1.6MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を竣工した(図2)。固定価格買取制度(FIT)を利用せず、全量を工場内で消費するのが特徴だ。自家消費タイプのメガソーラーとしては国内最大級となる(関連記事1)(関連記事2)。

図2●鹿島工場に設置されたメガソーラー全景。真上から俯瞰
図2●鹿島工場に設置されたメガソーラー全景。真上から俯瞰
(出所:DIC)
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 自家消費型にしたのは、環境価値としてDICグループが進める地球温暖化防止活動の一環に位置付けるためである。同グループは、「温室効果ガスの排出量を絶対量で毎年1%削減し、2020年までに2013年を基準に7%削減する」という目標を掲げている。

 これに対応し、全社横断的な省エネワーキンググループと各事業所での省エネ推進委員会を通じて、生産工程の改善まで踏み込んださまざまな活動を展開してきた。国内拠点だけでも「年間500件近い省エネ改善テーマに取り組んでいる」と、生産管理部部長の向後勇一氏は言う

 ここまで省エネに力を注ぐのは、まったく対策を打たない場合、事業拡大などで2013年から2020年までに温室効果ガスが9%増えることになり、それを勘案すると毎年ほぼ2%ずつ削減する必要があるからだ。