堰堤を避けて設置、地中埋設にも制約
もう一方の豊房発電所は、昔は暴れ川だったという、阿弥陀川に隣接している(図6)。面積は約11haとなっている。
幾度も流れが変わったり、氾濫を引き起こしてきたことから、以前の流れに対応した河川の設備、例えば、堰堤などが、発電設備の周囲に多く残っている。
こうした河川の設備は、現在は川の流れが変わって使われていなくても、手を加えたりできず、維持する必要がある。そこで、こうした以前からの河川の設備と、太陽光発電設備が共存するように設計する必要があった。
この土地も以前から有効活用が求められながら、うまく活用されなかった。数年前まで、残土処理場として処理会社に賃借されていたが、その後の活用が課題となっていた。
残土処理場時代に整備され、残土処理の終了後、一定の期間は維持することが決められている調整池などは、そのまま活用している。
豊房発電所には、こうした制約があり、設備の配置などを工夫した。
まず、堰堤など河川の設備がある場所は、使えないだけでなく、河川の設備として維持する必要がある。このため、発電設備を敷地外と区切るためのフェンスは、河川の設備を避けて設置する(図7)。
この必要から、フェンスで囲った区域は、約10カ所に分割されることになった。
堰堤など河川の設備などがある場所では、地中に電線を埋設できない。そこで、電柱を使って送電線を敷設した(図8)。
このほか、岩石が多く埋まっているために、採用したスクリュー杭の基礎を打ち込めず、コンクリート基礎を採用した場所もある。