グループの物流会社などが屋根上で先行

 日本を代表する食品関連企業だけに、工場だけでも約80カ所と、多くの拠点を抱えている。こうした工場や物流拠点などにおいて、建物ごとの運用の長期計画を踏まえつつ、太陽光発電の事業性を検討し、導入を進めてきた。

 また、最近5年間に新設した建物については、屋根上に太陽光パネルを設置できる仕様としている。

 こうした拠点への太陽光発電の導入は、キユーピー本体で統括的に取り組むのではなく、グループ各社が個別に検討し、設置してきた(図4)。

図4●富士吉田キユーピーの屋根上に並べた太陽光パネル
図4●富士吉田キユーピーの屋根上に並べた太陽光パネル
業務用マヨネーズやレトルト型のおかゆの製造拠点。富士山が見える(出所:キユーピー)
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 設置場所として、建物の屋根を活用している場合が多い。このため、発電システムの出力は、ほぼ数百kWの規模となり、最大で約1.5MWとなっている。

 最初に積極的に導入したのは、物流を担うキユーソー流通システム(KRS)だった。同社は、キユーピーの物流・倉庫部門が独立して設立され、現在ではキユーピー向け以外の事業が約8割を占めるまでに成長した、食品関連の物流企業である。

 全国にある物流拠点のうち、屋根上の太陽光発電に向く場所に導入を進め、2013年3月に松戸営業所(千葉県松戸市)と伊丹第三営業所(兵庫県伊丹市)、2014年2月には、所沢物流センター(埼玉県所沢市)で発電を開始した。いずれも、買取価格は40円/kWh(税抜き:以下同じ)である。

 弁当や惣菜などに同梱されている小袋型の調味料を手がけているケイパック(茨城県五霞町)でも、2013年4月に、買取価格40円/kWhで売電を開始している。五霞工場と道路を挟んで隣り合う場所にある本社工場の屋根上に、太陽光発電設備を設置した。

 この後、マヨネーズの製造に使う酢を手がけるキユーピー醸造(東京都調布市)の滋賀工場(滋賀県愛荘町、2014年4月に売電開始、買取価格36円/kWh)、業務用マヨネーズやレトルト型のおかゆの製造を担う富士吉田キユーピー(山梨県富士吉田市、2015年9月に売電開始、買取価格32円/kWh)、パッケージ型のサラダなどを手がけるサラダクラブ(東京都調布市)の遠州工場(静岡県森町、2016年2月に売電開始、買取価格32円/kWh)と、太陽光発電システムの導入が相次いだ。