「8万円ソーラー」で太陽光に参入

 2012年7月の固定価格買取制度(FIT)スタートを機に、DMMグループが迅速にメガソーラー開発に乗り出せた背景には、それ以前から住宅分野で太陽光発電システムを販売してきた実績があったからだ。

 東日本大震災とそれに続く原発事故によって、社会的に再生可能エネルギーへの期待が高まってきたのを機に、社内で再エネ事業参入を検討し始めた。国内外の再エネビジネスをリサーチする中で生まれたのが、2012年2月に開始した「8万円ソーラー」だった。

 太陽光発電の導入意欲が高まっている半面、広く普及が進まないのは、住宅用太陽光の初期コストが100万~200万円と高額になっていることが課題、と分析。設置住宅のオーナーの負担する初期コストを「8万円」に抑え、残りをDMMが出すというスキームを提供した。

 発電した電力は、設置後10年間、住宅オーナーとDMMが3対7(後に2対8)で分け、同社は7割分の売電収入で初期費用を回収するという仕組みだ。住宅オーナーは、設置当初から発電設備の所有権を持ち、発電量の2~3割の範囲内で経済メリットが得られる。11年目以降は発電電力の全量が取り分になる。

 「8万円ソーラー」の反響は大きかったが、現在のFIT制度の開始に伴い、2012年度で終了した。このサービスは、施工会社とパートナーを組んで太陽光発電システムを設置・運営し、太陽光パネルなどの設備はDMMが調達した。このビジネスを機に太陽光発電に関する知識と部材調達のノウハウが社内に蓄積されたという。

 FIT開始を機に、まず石川県加賀市の自社倉庫の上に1.45MWのメガソーラーを設置し、2013年4月に竣工した(図8)。メガソーラー事業に関しても、太陽光パネルは同社が調達し、EPC(設計・調達・施工)サービス事業者に支給するという形をとった。

図8●加賀市の自社倉庫屋根に最初のメガソーラーを建設
図8●加賀市の自社倉庫屋根に最初のメガソーラーを建設
(出所:DMM.com)
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