エアロセンスが仕掛ける

 ドローンは現在のところ、測量、農業、点検、警備、配送などの分野で活用が期待され、すでにいくつかのサービスが動き出している。カメラや各種センサーを搭載したドローンが撮影した映像やセンシングデータを分析することで、様々なサービスが生まれてきている。適用先が多岐にわたることで、他業界からの参入も目立つ。経年変化を見ることで価値が生まれる分野については特に、ビッグデータを処理する必要があるため、“クラウドとの連携”が、1つのカギを握りそうだ。

 ドローンとクラウドが連携したサービスを、国内でいち早く発表したのが、エアロセンスだ(関連記事)。ソニーモバイルコミュニケーションズと、自動運転に強みを持つZMPの合弁会社であるエアロセンスは、クラウドと連携したドローンのサービスを2016年に開始する。

 GPS電波が届かない環境での使用も想定し、画像センサーを用いたVisual SLAMで自律飛行するドローンを開発した。これにより、地図上でドローンの飛行経路を設定するだけで、飛行から撮影まで一貫して自律で行うサービスを実現するという。例えば土砂量の算出や建設現場における資材の把握といった、データ解析などもクラウドと連携して行っていくという。

ZMP代表取締役社長でエアロセンス代表取締役の谷口恒氏(右)と、エアロセンス取締役の佐部浩太郎氏(左)。中央は同社が開発したサービスに利用する予定のドローン。
ZMP代表取締役社長でエアロセンス代表取締役の谷口恒氏(右)と、エアロセンス取締役の佐部浩太郎氏(左)。中央は同社が開発したサービスに利用する予定のドローン。
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農業分野は精密農業に焦点

 農業分野では、農薬散布を行っていた大型の無人ヘリコプターに代わり、導入コストが比較的抑えられるドローンに期待が寄せられている。狭い農地や、飛び飛びとなっている農地でも運用しやすいからだ。農林水産省でも、「新たな農林水産業用回転翼無人航空機の利用に関する検討会」が立ち上がり、ドローンの活用について議論が進められている。

 農業分野では他に、食物の生育状況の調査や害虫の監視に向けた試みも始まっている。IT業界を中心に2015年6月に立ち上がった「セキュアドローン協議会」は、“精密農業”と呼ばれる、リモートセンシングなどのICTを活用し、農地の状態を観察し収量や品質向上に役立てる農業管理手法に、ドローンを活用している(関連記事)。

 同協議会は2015年夏に、北海道旭川市の水稲圃場や上川郡東川町のワインぶどう農場で実証実験を行った。それらを基盤に、同協議会会長の春原久徳氏は、農家向けのドローン活用サービスを行う新会社ドローン・ジャパンを2015年12月に設立した。農業分野でのドローン活用は、動き出し始めたばかりだ。