太陽光発電の売電単価32円・36円・40円/kWhの長期未稼働案件を狙い撃ちした固定価格買取製制度(FIT)・特別措置法施行規則の改正が公表された。今回のコラムでは、業界誌ばかりでなく一般メディアも大きく取り上げている今回の制度改正案の内容を解説し、改正によって電力業界に与える影響について予測する。

事実上の「FIT単価切り下げ」

 今年10月に経済産業省は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則」(以下、特別措置法施行規則)の一部を改正し、32円・36円・40円/kWhの案件について、適用する売電単価の変更(減額)と運転開始期限を設定するとの案を公表し、11月21日にパブリックコメント期間が終了した。

 新たな措置の対象は、改正FIT移行時に「運転開始3年期限」を設定しなかった案件で、経産省によると、最大17GWになるとしている。これらの案件は、運転開始期限が設定されたうえ、2019年4月1日前に「系統連系工事の着工申し込み」が電力会社から受領されなければ、適用される売電単価が21円/kWhに変更され、事実上の「切り下げ」措置が確定する。

 今回の措置の狙いとしては、以下のような弊害を解消が目的だ(図1)。

図1●長期未稼働案件への措置の狙い
図1●長期未稼働案件への措置の狙い
(出所:経産省資料を基に日経BP作成)
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