韓国で出力1500MW超、中国で数百MW、インドネシアやベトナムでも大規模な水上太陽光発電プロジェクトが計画されている。日本で数多く立ち上がった水上太陽光発電が世界中から脚光を浴びている。世界的に固定価格買取制度(FIT)の売電単価が低下する一方、低コストで建設できる太陽光発電の好立地が減っていくなか、何も使い道がない水面の有効活用にもなり、水質にも有用という認識が広まり、ヒットしているようだ。今回は、水上太陽光の特徴について解説する。

世界の「水上太陽光」、半分が日本

 日本では水上に建設するメガソーラー(大規模太陽光発電所)が盛んである。世界銀行とSERIS(The Solar Energy Research Institute of Singapore)の調査によると、世界の水上太陽光発電の導入量は出力1.1GWに達し、そのうち約半分が日本での導入だという。

 スマートエナジーでも3年前に埼玉県川島町に出力7.55MWもの水上太陽光発電プロジェクト「川島太陽と自然のめぐみソーラーパーク」を開発した(図1)。

図1●出力7.55MWの「川島太陽と自然のめぐみソーラーパーク」
図1●出力7.55MWの「川島太陽と自然のめぐみソーラーパーク」
(出所:スマートエナジー)
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 その経験からいうと、水上太陽光には以下のような特徴がある。まず利点としては、(1)地権者の権利関係が整理されている、(2)水力発電のように水を利用しないので、水利権上の複雑な問題は少ない、(3)造成工事が不要で、着工から完成まで比較的短時間で完成する、一方課題としては、(4)特殊工事に精通する工事業者が少ない、(5)フロート架台が20年以上の耐久性を有するのか不安ーーなどだ。

 いくつかの課題はあるものの、日本は新田開拓のためにため池を数多く作った歴史を持ち、水上太陽光発電のポテンシャルは大きく、今後も積極的な開発が続きそうだ。