プロジェクトマネジメントの役割を検証すべきだ

(写真:都築 雅人)
(写真:都築 雅人)
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――旧整備計画の白紙撤回を受けて教訓とすべき点は何か。

内藤:今回、課題となったのは発注者支援業務を担う山下設計JVだろう。山下設計JVはJSCの助言者として旧整備計画に関わった。本来ならプロジェクト全体をコントロールする役割を果たさなければならなかった。設計側が減額案を提出すると、整備費を跳ね上げた数字がメディアにリークされて報道される。発注者支援がほとんど機能していないように見えた。

 日本にプロジェクトマネジメントを根付かせたいなら、旧整備計画で山下設計JVが果たした役割を検証したほうがよい。特に施工予定者が加わってから設計と施工の両者を調整する必要があった。外から見たら全く役に立たなかったとしか見えない。

 日経アーキテクチュア10月10日号特集「『新国立』破綻の構図」では、白紙撤回となった新国立競技場の旧整備計画から建築界が今後、生かすべき教訓を考察しています。ザハ・ハディド・アーキテクツで設計の最前線を経験した内山美之氏のインタビューを掲載し、設計の現場で何が起こっていたのかにも迫っています。ぜひ、ご一読ください。