プレーをリアルタイムに見える化

 もう一つの「データ分析」は、練習時のボールの速度やコースなどをリアルタイムにトラッキングして“見える化”した画像を、遠隔地にいるコーチと共有してアドバイスをもらえるサービスだ。

 トラッキングシステムは、スポーツのデータ収集や分析、配信を行っているデータスタジアムと、大阪大学発の研究開発型ベンチャーのQoncept(コンセプト)が共同開発したものを活用する。

リアルタイムトラッキングのデモ。手前が石川選手。ラリーの1球ごとのボール速度と直近のボールの落下点を示している
リアルタイムトラッキングのデモ。手前が石川選手。ラリーの1球ごとのボール速度と直近のボールの落下点を示している
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 同システムは2台のネットワーク対応カメラでプレーを撮影し、機械学習をベースにした画像認識技術で、リアルタイムにボールをトラッキングする。取得できるデータは、ボールの速度、軌道、スピン、落下点、角度など。プレーヤーの目線でサーブなどの軌道も可視化できる。このデータをCisco Sparkでコーチと共有する。

 もちろん、選手の個人情報やパフォーマンスに関するデータが流出しないよう、シスコのセキュリティー技術を実装しているという。

 石川選手は、「これまでもプレーの映像はチェックしていたが、『この場所に何%打っている』など明確なデータはなかった。「何となく」が、「はっきり分かる」に変化する意味は大きい。自分の失点時のプレーをデータ分析して改善につなげられる」と語った。

 シスコシステムズ合同会社代表執行役員社長の鈴木みゆき氏は、「あらゆるスポーツでテクノロジーの重要性が増している。卓球は日本人選手が世界で活躍している競技で、幅広いオーディエンスにアピールできる。今後は栄養管理などでもテクノロジーを活用する場面が増えるだろう。選手がより一層高いレベルの試合ができるようサポートしていく」と、アスリートアンバサダー契約の意義を語った。