2018年10月28日に、鈴鹿サーキットで今シーズンの最終戦を迎える全日本スーパーフォーミュラ選手権(SUPER FORMULA)。フォーミュラカー(オープンホイール)を使用して日本を舞台に全7戦でチャンピオンを競う自動車レースだ。

SUPER FORMULAに参戦している「TCS NAKAJIMA RACING」のピット。中嶋悟氏が代表を務める
SUPER FORMULAに参戦している「TCS NAKAJIMA RACING」のピット。中嶋悟氏が代表を務める
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 そこに参戦する11チームの一つに、かつて日本人初のF1ドライバーとして活躍した中嶋悟(なかじま・さとる)氏(現・中嶋企画の社長)が率いるレーシングチーム「TCS NAKAJIMA RACING」がある。2017年からはインドの大手IT(情報技術)企業、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)がスポンサーとなって、テクノロジーパートナーとして技術面をサポートしている。

 SUPER FORMULAで出走するフォーミュラカーは、世界最高峰の自動車レースであるF1などと同様、センサーの塊だ。100以上のセンサーを搭載し、アクセルの踏み方やステアリングの角度、それぞれのタイヤにかかる荷重といった車両に関するさまざまなデータをデータロガーというシステムで取得している。そのデータ量は1ラップで約6.2MBにおよぶ。

練習走行をしてピットに戻ったレーシングカーから車両データを取り出すエンジニア。データの大きさは、1ラップで約6.2MBにおよぶ
練習走行をしてピットに戻ったレーシングカーから車両データを取り出すエンジニア。データの大きさは、1ラップで約6.2MBにおよぶ
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 ただし、レースに勝つために必要なデータは車両そのものに関するものだけではない。サーキットを周回する際の最高速度やラップタイムなどの「タイミングデータ」、気象データなど多岐に渡る。これまで、こうしたデータを効率的に収集して解析できていたかというと、決してそうではない。意外にも、手書きなど“アナログ”な部分も残っていた。

 NAKAJIMA RACINGがTCSをテクノロジーパートナーとして迎えたのも、こうした部分を改善してデータ収集・解析を効率化するためだ。その取り組みは始まったばかりだが、これまでに何が変わったのか見てみよう。