データを使った明確な目標設定

 本プロジェクトにおける目標・成果は、明確に数値化されている。重要なのは、こうした取り組みがW杯期間中で完結するものではなく、今後も継続して続いていくものであることだ。その成否を測るために継続的に評価するKPI(主要業績評価指標)が、下記の通り決められている。数値化できるものもできないものも含めて、ありとあらゆる数値化を試み、かつ、その指標も柔軟に変えて行く。

<定量評価>
・アイスホッケーを体験した移民の数(家族を含む)
・各地域のアイスホッケー協会への登録人数
・各地域のアイスホッケー参加者の人種構成
・プログラムを受けた子供たちの継続率
<定性評価>
・アイスホッケーの体験をどれだけ楽しめたか
・それにより、カナダへの愛国心やカナダ人としての自覚がどう変化したか
・リーダーシップなどのライフスキルがどのように変化したか
・アイスホッケーへの関心・知識がどう変化したか
・NHLなど競技への興味や、試合観戦への興味がどう変化したか
プロジェクトに対する世間の反応をSNSへの書き込みなどを分析して評価。PDCAサイクルをきちんと回している(図:NHL)
プロジェクトに対する世間の反応をSNSへの書き込みなどを分析して評価。PDCAサイクルをきちんと回している(図:NHL)
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 メディアを通じて、このプログラムがどの程度普及し、どう評価されているかという「世論形成」を指標に入れていることも重要だ。例えばSNS上でポジティブな話題となっているのかどうかを、データを常にモニタリングして評価している。そして、活動内容をチューニングするという「PDCA(計画、実行、評価、改善)」をきちんと回していることも忘れてはならない。

(次回に続く)

宮田 誠(みやた・まこと)
ユーフォリア 代表取締役
商社、半導体JV、ブリヂストンでのマーケティング担当のキャリアを経て、2008年に株式会社ユーフォリアを設立。マーケティング/マネジメントコンサルティング、システム開発を行う。スポーツ選手のコンディション管理システム「ONE TAP SPORTS」シリーズを、ラグビー日本代表をはじめとする多くのチームに展開している。白馬国際トレイルラン発起人で、その他各種スポーツイベントのコーディネートも行っている。