日本の約5.5兆円に対して米国は50兆円以上――。GDP(国内総生産)の差は約3倍なのに、スポーツ産業の市場規模は約10倍の差。ここまでの“日米格差”がある現状を、自分の目で確かめられるイベントがあった。

 米マサチューセッツ工科大学のビジネススクール(MIT Sloan School)が主催する、スポーツアナリティクス(解析)をテーマにした、スポーツ産業カンファレンス「MIT Sloan Sports Analytics Conference 2018」(MIT SSAC2018)である。関連のカンファレンスでは世界最大級で、2018年2月23~24日に米ボストン市で開催された今年のイベントには、世界35カ国から3500人以上が参加した。もはや、スポーツアナリティクスの枠を超えてスポーツ産業関係者の「祭典」と呼ばれるまでに成長している。

「MIT Sloan Sports Analytics Conference 2018」(MIT SSAC2018)が開催された米ボストンにあるBoston Convention & Exhibition Center。オバマ前大統領も登場するとあってセキュリティーが厳しくなっていた
「MIT Sloan Sports Analytics Conference 2018」(MIT SSAC2018)が開催された米ボストンにあるBoston Convention & Exhibition Center。オバマ前大統領も登場するとあってセキュリティーが厳しくなっていた
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 参加者はプロスポーツチームの幹部や選手、スポーツビジネスを展開する大企業やベンチャー企業、投資家、メディア、大学関係者や学生など、一つの産業を形成するためのエコシステムが出来上がっていることを確認できる。ここ数年、日本でもスポーツビジネスに対する関心が急速に高まり、新規参入が相次いでいるが、「エコシステムの厚み」という点では米国の足元にも及ばない。MIT SSACはそれを実感させてくれる。

 その一例として、MIT SSACにはスポーツ業界に就職したい学生と、優秀な人材を採用したいチームや企業とのマッチングの場としての機能もある。「Career Conversations」という企業の採用担当者との面談コーナーには、連日、長蛇の列ができていた。

優秀な人材を採用したいチームや企業と、学生などスポーツ業界に就職したい人たちのマッチングの場である「Career Conversations」のコーナーの前にできた長い行列
優秀な人材を採用したいチームや企業と、学生などスポーツ業界に就職したい人たちのマッチングの場である「Career Conversations」のコーナーの前にできた長い行列
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 今年のイベントには著名人も多数参加した。米国の前大統領であるバラク・オバマ氏、元マイクロソフト(Microsoft) CEO(最高経営責任者)のスティーブ・バルマー氏、米メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキースなどで活躍したアレックス・ロドリゲス氏、そして米4大スポーツリーグのトップであるコミッショナー達、などである。