――smartheartが日本で発売された時、すぐに興味を持ちましたか。

 飛びつきましたね。これはいい、と思った理由は三つあります。

 第1に、狭心症などの発作が起きた時、その症状を心電図できちんと捉えられることです。日々、診療をしていると患者は「あの日の夜、すごく胸が痛かったんです」といった訴えをするのですが、その時の症状はデータとしては残されていない。診察時にはたいてい症状は治まっていますから、発作時の状況を推測する手立てはないんですね。

ポータブル心電計「smartheart」。利用者が一人で簡単に装着でき、測定開始から約30秒で結果が得られる
ポータブル心電計「smartheart」。利用者が一人で簡単に装着でき、測定開始から約30秒で結果が得られる
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 24時間装着するホルター心電計も、しばしば症状を正確に捉えられません。発作の頻度が非常に低い場合もありますからね。これに対してsmartheartは、症状が起きた時に装着し、その時の症状をきちんと記録できるメリットがあります。

 ポータブルタイプの心電計は以前からあったのですが、smartheartが画期的だったのは12誘導という点です。心電図を専門的に読む立場からすると、12誘導でないと得られない情報はすごく多いんですね。例えば、1誘導だと不整脈を捉えることはできますが、狭心症の発作は捉えられない。smartheartなら、狭心症の症状もきちんと捉えられるわけです。