もう1つの難関、ディスプレー部分もオーブンで温めてから引きはがしにかかる。タッチパネルの機能がどう実装されているかを調べるためだ。

 「あっ! あーあ……」

 喜びと落胆の声がほぼ同時に上がる。背面側のガラスが、一部はがれると同時に割れてしまったのだ。厚さ0.2mm。分解の途中で破損するのも無理はない。

 「このベタベタするの、液晶じゃないかな」

 えぇーっ!液晶ってなんか危ないんじゃない??と内心ビビる筆者。つい先日まで健康関連の雑誌を担当していたので、カラダに良からぬ成分には人一倍敏感なのだ(JEITAの「液晶材料の生体に対する影響」によれば、実際は安全性が確認されたものだけが市場に出回っているそうです。本当に不勉強で、関係者の皆様スミマセン)。それはさておき、はがれたのは液晶を挟む背面側のガラスのようだ。

ディスプレーは液晶部分ではがれた
ディスプレーは液晶部分ではがれた
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 ガラスの破片から、偏光板(フィルム)とガラス基板上のTFTが確認された。配線から判断すると、静電容量方式のタッチセンサーが液晶面に作られたインセル型と推測できる。iPhone 6sは、通常のタッチ操作は液晶面に作られたタッチセンサーで検出し、「3D Touch」で押し込んだ圧力などはバックライトの後ろにある感圧センサーで検出しているようだ。

顕微鏡でTFTの配線を確認する
顕微鏡でTFTの配線を確認する
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 液晶をはさむ表面側のガラス板を顕微鏡で観察するとカラーフィルターとスペーサーが確認され、さらに偏光板(フィルム)、カバーガラスを重ねる形になっていることが判明。無事、ディスプレーモジュールの分解が終了した。

 分解班の苦労をよそ目に、米Apple社はiPhone 6s(とPlus)の発売後3日間の販売台数が1300万台以上に上ったと発表した。前機種「iPhone 6(とPlus)」の実績を300万台も上回る好調なスタートだ。その内部は前機種からどう変わったのかーー日経エレクトロニクスの11月号では分解結果の詳細を報告する。どうぞお楽しみに。