連載
原子力技術者の先見性と後進性
福島第一原発事故から考える
物理学者・技術評論家の桜井淳氏が、事故調査報告書の読み込みや東京電力(東電)に対する聞き取り調査を通じて原子力技術者の先見性と後進性について考察する。
目次
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第3回 苛酷炉心損傷事故炉の廃炉に向けて
世界で本格的に原子力開発が始まってからおよそ70年になる。世界では、多くの原子力施設が廃止措置となり、閉鎖管理や解体撤去されてきた。その中でこれまでに苛酷炉心損傷事故を起こした商業用原子炉としては、スリーマイル島原発2号機、チェルノブイリ原発4号機、福島第一原発1-3号機がある。
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第2回 分析甘い学会事故調の報告書
日本原子力学会は、事故後「福島第一原子力発電所事に関する事故調査委員会」(以下、学会事故調)を組織。調査報告をまとめた報告書を2014年3月に出版している。まずは、同報告書(学会事故調報告書)を見てみよう。筆者が同報告書の大きな問題と考えている点に、学会の専門家が有しているはずの能力を十分に生かし…
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第1回 知識の不確実性
筆者はこの4年間に東京電力の記者会見や公表資料ではよく分からない点について、正式ルートを通じて電子メールで約200件の事実確認や質問を行った。きびしいやり取りが続いたが、その過程で発生した大きなテーマに対しては、さらに東電の東京本社や福島第二原子力発電所(F2)に赴いて、技術幹部から数回の聞き取り調…