「総合判定B:わずかに基準範囲を外れていますが、日常生活に差し支えありません」。

 これは筆者が2018年秋に受けた定期健康診断の判定結果だ。一部の数値が基準値を超えたものの、特に問題があるわけではないらしい。本人は「健康である」と信じているが、本当に何も問題がないのか・・・。労働安全衛生法に基づいて事業者に対して1年以内ごとに1回の実施が義務付けられている定期健康診断の重要性に疑いの余地はない。しかし、これだけで十分と考えている人は少ないだろう。

 スポーツ用品大手のアシックスは、まったく別の切り口で健康度を高めることを目指す企業向けの健康増進プログラム「ASICS HEALTH CARE CHECK」を開発、2019年内に健康経営に注力している複数の企業と連携して実証実験を行う。年内は実験を通じて事業化の可能性を判断し、ゴーサインが出れば2020年からビジネスを本格化させたいとしている。

 アシックスは本社を構える神戸市に「スポーツ工学研究所」を有し、ランニングをはじめとする各種スポーツ用のシューズ、アパレルに向けた素材の開発を手掛けたり、運動に関するさまざまなデータを蓄積したりしてきた。ASICS HEALTH CARE CHECKは同社が保有するデータと、歩行能力などの測定を通じて取得したデータを使い、現在の健康度を評価するとともに、将来の健康寿命を予測。さらに健康増進に向けた運動や食事などのプランを提示する。これまで培ってきた、人に対する測定や分析技術、運動プログラムに対する豊富な知見など、スポーツ用品メーカーならではの資産を活用し、企業の健康経営推進を支援する考えだ。

アシックス スポーツ工学研究所の外観。素材開発やアスリートの動作に関するデータの取得や解析など、シューズやアパレルなど製品やサービスの開発に必要な研究を行っている
アシックス スポーツ工学研究所の外観。素材開発やアスリートの動作に関するデータの取得や解析など、シューズやアパレルなど製品やサービスの開発に必要な研究を行っている
(写真:アシックス)
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