次世代高速通信規格「5G」をにらんだ国内大手キャリアの動きが本格化してきた。2017年5月24~26日に東京ビッグサイトで開催された展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017」にNTTドコモとKDDIがブースを出展。来たるべき5G時代についていち早くアピールした。
茶の間でコースにいるかのようなゴルフ観戦
特に気合いが入っていたのはNTTドコモだ。会場の入口近くに「5G Tokyo Bay Summit」という5G専門のパビリオンを開設。「5G」というロゴの入った大きなトレーラーを置き、その周りに協力各社と進めている5Gへの取り組みを数多く展示していた。
例えば、フジテレビと共同で実験を進めている「ジオラマスタジアム」の展示では、ゴルフ場を見立てたジオラマを用意した。日本マイクロソフトのヘッドマウントディスプレイ(HMD)「HoloLens」やスマートフォンを通して見ると、その上にプロゴルファーが球を打つ姿が投影されるAR(拡張現実)が実現できる。
フジテレビ コンテンツ事業局コンテンツ事業センターVR事業部の小倉敦之氏は「365度どの角度からでも自分の視点で見られるのが醍醐味」と、自宅にいながらにして、あたかも目の前でプロのプレイが見られる新しいスポーツ中継を想定している。大容量で低遅延な通信が可能な5Gにより実現可能となるため、小倉氏は「5Gが始まる2020年には実際のサービスを開始したい」と期待を語る。
NECや綜合警備保障(ALSOK)と共同で展示していたのは、5Gを活用した警備システムだ。4Kカメラで撮影した画像を伝送し、センターのコンピュータで画像解析してブラックリストと照合。該当する人物を発見すると「危険人物」として警告するというものだ。5Gで4Kのような高解像度の画像が伝送できるようになることで、より正確な判断が可能になる。
4K/8K/遠隔操作…、5Gのメリット示すNTTドコモ
これ以外にも5Gの大容量を生かした高解像度映像の伝送手段を展示する内容が目立った。例えば、NHKと共同で開発している8K映像の伝送や、東武鉄道と協力した東京スカイツリーの展望台からの360度リアルタイム映像、凸版印刷と組んだ東照宮や熊本城の4KでのVR映像などが展示されていた。