「海外風車が日本の風で故障」は神話

――日本に設置された風力発電設備の多くが海外製で、山がちで乱流の多い日本の風によって故障が多発したと言われます。それが、風力発電の評判を落とし、「日本は風車に不向き」との見方が広がりました。

清水 よく言われる「欧州の風車が日本の乱流で壊れた」というのは、一種の神話だと思います。確かに日本では山がちな場所に風車を建てることも多いのですが、きちっと風況調査していれば、山地でも、概ね平行な風が吹いている場所に風車を立てられます。たまに風が乱れたとしてしても、その程度の風は海外製風車も想定しています。実際、スペインなどでは早くから山地にも多くの風車が稼働していました。

 とはいえ、2000年前後に国内に建設された風車に故障が多かったのは事実です。これは「海外製だから」でなはなく、主に2つの原因がありました。

 1つは、そもそも当時、世界的に急速に風車の大容量化が進みましたが、それを支える強度設計が不十分など技術的に未熟な面がありました。つまり、日本だけでなく、世界的に風車の故障が多かった時期なのです。もう1つの原因は、これはまさに日本特有の問題ですが、自治体の建てた風車には、もともと風力事業に向かない立地に、政治的な背景から作ったり、設置後に適切に運用・保守(O&M)がされなかったりしたため、長期間、稼働しないようなケースも目立ちました。