FITで風力産業が復活へ

――その後、独立系の風力開発ベンチャーは、業績が悪化していきました。

清水 「極めて風況の良い限られたエリアで、出資企業に風力を開発させる程度でよい」というのが大手電力の風力発電に対する考え方だったと思います。こうしたなかで新規に風力を開発する意欲が削がれ、投資資金も入らなくなりました。RPS法の施行と、こうした国内電力会社の消極的なスタンスによって、日本の風力市場と風力産業がいったんは壊滅状態になったと言ってよいでしょう。

 ただ、FITによって、再び、長期に固定価格で買い取る仕組みになったので、風力ベンチャーも含め、国内風力市場が息を吹き返しつつあります。現在の20円台/kWhの買取価格であれば、風速5.5m/sでも事業性が確保できます。潜在的には100GW程度まで開発可能な地域が広がってきます。

――北海道や東北地方では、基幹送電線の容量が不足し、連系できないケースも目立ちました。これも、風力の開発にブレーキをかけたように思います。

清水 確かにそうした面はありましたが、日本の風力開発で不幸だったのは、風況の良い地域の多い、北海道の大手電力が原子力発電所を建設していたことです。北海道電力は、泊原発の稼働で電気が余る状況になっていたので、風力など、再エネを積極的に受け入れようとする姿勢に乏しかった面は否めません。

 加えて、北海道では、基幹送電線の一部を電源開発(Jパワー)が所有するなど、北電が送電系統に関して、直接的に対策を打てない状況もありました。こうした背景もあり、適地の多い北海道で連系できる風力がすぐに限界に達しました。当時、北電が行った風力発電の追加連系枠の募集では、50万kWを超える応募があったものの、結局20万kW程度しか連系できず、建設されませんでした。

北海道苫前町の風車
北海道苫前町の風車
(出所:ユーラスエナジーホールディングス)
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