電力小売事業者による再エネ利用が進む

 FIT制度では、一般電力会社による買い取りが義務付けられていたが、電力会社の法的分離の方針が採用されたため、より明確に電力送配電事業者に買取義務が課せられた。東京電力で言えば、東京電力パワーグリッドが、改正FIT制度における電力売買契約の相手方となる。

 そして、送配電事業者は、 FIT電源からの電気を卸電力取引市場か、電源を特定することで電力小売事業者に直接販売できるようになる。その場合には、 FIT発電事業者と小売事業者どの間に個別の契約を締結することになる。

 この制度の下では、今まで与信上の観点から進まなかった電力小売事業者によるFIT電気の活用が進むのではないかと考えている。

図5●改正FIT制度における電気の流れ
図5●改正FIT制度における電気の流れ
(出所:経済産業省)
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 電力小売事業者にとって、電力のCO2排出係数は、数少ない電気の品質上の差別化ポイントである。電力に関する自治体などへの入札条件となっている場合も多く、さらなる活用ポテンシャルを持つ。再エネ賦課金を全電力ユーザーが払っているという公平性の問題を、政府がどのように解決していくのか、制度設計が待たれる(図5)。