自動運転車が実現されるのはいつか?素朴な疑問について、欧州の自動車大手と部品大手の代表が一堂に会し議論。各社の見解を示した。
中国・上海で開催された技術展示会「CES Asia 2017」で2017年6月9日、自動車業界の欧米大手3社を中心にパネルディスカッションを実施、自動運転車のロードマップを議論した。パネルディスカッションのお題は、「The Road Map for Self-Driving Vehicle Technology 」である。
パネルディスカッションに登壇したのは、独BMWグループの米デザインワークスでインタラクションデザインを統括するエリック・ブラウン氏。自動車部品大手である米デルファイ エレクトロニクス&セーフティ 技術統括のプーラブ・サーマ氏、同じく自動車部品大手の独コンチネンタルでアジアの事業開発を統括するアリジット・ボーズ氏が加わった。さらに、デジタル地図を手掛ける中国ナブインフォのシニアバイスプレジデントを務めるトンハイ・タイ氏も参加した。
自動運転技術のロードマップについて、自動車メーカーに部品を直接卸す「ティア1」を代表するデルファイ、コンチネンタルの2社が見解を見てみよう。
米インテル、イスラエル・モービルアイ(2017年3月にインテルが買収)と共同戦線を組むデルファイのサーマ氏は、「我々のコンソーシアムは既にレベル2~レベル3の技術を持っており、レベル4を2020年までに実現することを目指している」とした。「開発のペースから見ても、これは現実的な目標だ」(サーマ氏)。
自動運転におけるレベル3は「緊急時のみ人間が運転に介入する」、レベル4は「天候や地域など特定の条件で、完全に運転を委ねることができる」技術を指す。ただし自動運転レベルの解釈は各社ごとに異なるため、単純な比較はできない。
一方、コンチネンタルのボーズ氏は、やや保守的な見解を示す。「我々を含めティア1の部品メーカーは、この2年のうちに自動運転に向けた技術的ハードルをクリアできる見通し」(ボーズ氏)とし、2020年にはレベル3に当たる「高度な自動運転」を実現できるとみる。一方でレベル4に当たる「完全自動運転」の実現は2025年になるとした。
コンチネンタルは現在のところ、デルファイと組む米インテル、独ボッシュや独ZFなどと組む米エヌビディアいずれのグループにも属していない。ボーズ氏はパネルディスカッション後の本誌の取材に「現時点ではエヌビディアはLiDARが生む大量のデータの解析に、インテルが買収したモービルアイは車載カメラの効率的な処理で優れるが、いずれ両社の技術は接近するだろう。コンチネンタルは、センサーや半導体を含む技術の統合で強みを発揮する」と語った。
「2025年に完全自動運転」というコンチネンタルの見解は、ホンダが2017年6月8日に「レベル4の完全自動運転を2025年に実現させる」と表明したことと整合する。いずれにせよ、レベル3以上の高度な自動運転技術の実用化が間近に迫っているのは間違いなさそうだ。