なぜロードマップが必要か

 新規事業開発には、既存事業と異なる新しい領域へチャレンジすることから、高い不確実性を伴います。事前に計画を立案したとしても、計画通りに進むことは稀であるといえます。しかしながら、不確実性が高いからといって、将来の見通しを一切考慮せずに新規事業開発を進めては、失敗に終わってしまう可能性が高いでしょう。予測が難しい新規事業の不確実性に対応するためには、目標達成に向けての基準となる道筋を定め、日々、状況の変化へ柔軟に対応することが必要となります。

 新規事業開発を進めていく過程で、どれだけ不確実性への対応に注力しても、新規事業の成功確率は既存事業と比較すると高いものではありません。企業として新規事業開発に取り組む上では、1つの新規事業開発テーマだけに集中するのではなく、複数の新規事業開発テーマを並行して推進することが有効となります。新規事業開発テーマ群を俯瞰してマネジメントすることは、新規事業開発に伴う不確実性をマネジメントすることにつながります。

 個別の新規事業開発テーマに対しては基準となる道筋を示し、複数の新規事業開発テーマを群としてマネジメントする、という2つのポイントを達成するためには、新規事業開発のロードマップを策定することが有効です。ロードマップとは、未来のシナリオを予測し、具体的な推進計画を示すツールであり、企業活動のさまざまな分野で活用されています。ロードマップを新規事業開発に適用することで、不確実性の高い新規事業開発をマネジメントすることが可能となります。

 今回は、新規事業開発におけるロードマップに関して、基本的な考え方と、策定のためのポイントを紹介します。