【質問3】木質バイオマスのFIT制度は、来年度に向けてどういった変更になりそうなのですか。

【回答3】既に木質バイオマスは過剰認定の状態ですから、大枠では新規認定を抑制する方向で制度改正が行われるでしょう。もっとも、バイオマス発電は他の再エネ電源と異なり、燃料の価格と量の両面で買取期間(20年間)にわたる安定的供給策を講じる必要がある火力発電です。資金調達を含めて案件組成の難易度が相対的に高いといえます。

 そのため事業者団体からは、一般木質バイオマス発電の実際の導入量は認定量の2割程度の180万kW(既設を含めて220万kW)にとどまり、2030年の導入見込み量である400万kWには届かない可能性が、調達価格算定委員会で指摘されています。「設備規模」「専焼か混焼か」「既設か新設か」「燃料」などの分類ごとに、バイオマス発電の導入量の最新の実態を踏まえて買取価格の水準を決めることになります。

 今後の制度を読み解くポイントは6つあります。まず第1のポイントは、「大規模区分の買取価格の引き下げ」です。

 木質バイオマス発電所の大規模化は、発電効率を高め電源コストの低下に役立つものの、バイオマス燃料の需給逼迫や価格上昇リスクが顕在化した場合に、事業継続への影響が大きいという問題があります。そこで、大規模化に一定の歯止めをかけるべく、大規模区分の買取価格はさらなる引き下げが検討されそうです。

 大規模化に歯止めをかける方法としては、太陽光発電で導入した入札制度などがあります。ただ、調達価格算定委員会では、バイオマス発電について入札制度の導入検討への言及はなく、運転開始期限の設定要否が論点として指摘されているにとどまります。

バイオマス混焼の認定条件は厳しくなる

 第2のポイントが、「混焼区分の創設」です。これまでバイオマスの買取価格の算定は、専焼プラントを前提にしていました。ただ、石炭・バイオマス混焼は、バイオマス専焼よりも発電コストが安価であることが分かっています。そこで、混焼比率の違いによる発電コストの把握が必要だと指摘されています。

 バイオマス混焼は、CO2排出量の削減手段であり、省エネ法の発電効率ベンチマーク達成手段でもあることから、FITによる買取対象から外れることはないでしょう。他方、石炭火力発電所にバイオマス燃料を使えば、燃料費は増加します。こうした理由から、新たに混焼区分を創設し、バイオマス混焼比率が高くなるにつれて買取価格を低く設定するのではないでしょうか。

 そして第3のポイントが「既設改造区分の創設」です。既設改造と新規建設とを区分して取り扱う可能性は、「平成29年度以降の調達価格等に関する意見」(2016年12月公表)で示唆されています。既設改造と新規建設のコスト実態を把握する必要性が言及されているのです。

 2018年度以降の買取価格の設定に当たっては、既設改造と新規建設とを区分したうえで、既設改造に対して抑制的な買取価格・買取期間とすることが検討されるでしょう。バイオマス混焼のFIT認定条件は、厳しくなりそうです。