だが、「本来、送配電部門はルールに基づいて事前に確保した調整力の範囲で太陽光などの変動にも対応できるはず。小売部門に余分な電源確保を要請するのは筋違い」と監視委員会幹部は断言する。仮に、太陽光の変動対応が現行の調整力で不足するなら、調整力のルールを見直すことで対応すべきだろう。

 ちなみに九電の場合、小売部門はこれまでもゲートクローズ時点で予備力は1%未満に減らしている。その上で、送配電部門はDRまで使って太陽光の変動に対応しようとしているわけだ。

1時間前市場の活性化も課題

 今回、新ルール運用に当たって、1年の試行期間を設けた。これまで、スポット市場入札時点で予備力を3~5%残していた東電EP、中部電と関電の小売部門は、この11月から2~3%に減らすことからスタートし、1年後までに1%未満に減らす。

 仮に実需給前日に行うスポット市場入札から当日までの間に、需要予測が変化し、供給力が不足しそうな場合は、1時間前市場で不足分を調達する必要がある。ここまでは大手電力を含む小売電気事業者に供給力確保義務がかかる。

 つまり、今回の新ルールは、大手電力の場合も不足分を1時間前市場で調達できることが前提になっている。ただ、直前の微調整に使われる1時間前市場の取引規模はこれまで、スポット市場に比べて大幅に小さい。1年間の試行期間を設けたのは、夏場や冬場を含めて、1時間前市場が大手電力の電力調達の場としても機能するかどうかを検証する意味がある。

 これまで取引量がわずかだった1時間前市場も、買い手が増えれば、それに合わせて取引量は増えていく可能性がある。

 新ルールを通して、スポット市場や1時間前市場を成長させられるか。3社の前向きな取り組みが大前提になる。