Sony Electronics社Deputy PresidentでPresident, Consumer Sales & Marketing Groupの奥田利文氏
Sony Electronics社Deputy PresidentでPresident, Consumer Sales & Marketing Groupの奥田利文氏
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 「2016 International CES」(2016年1月6~9日)において、ソニーの米国市場への取り組みについて報道機関向けに、ソニーの現地法人の担当者による説明会が開催された。登壇したのは、Sony Electronics社Deputy PresidentでPresident, Consumer Sales & Marketing Groupの奥田利文氏である。発言の趣旨は以下の通り。

 2013年に米国法人に私が着任して以後、取引先の絞込み、商品の絞込み、販売現場の強化によって利益・キャッシュフローが得られる状態になった。数は出るが、利益に結びつかない商品を売っていても仕方がない。他社と差異化できる、高性能な商品で勝負する。2014年はまだ当時認知度が低かった4Kテレビ、2015年はカメラを重点販売商品と位置付けて、販売してきた。2016年はオーディオに新たに力を入れる。ハイレゾとマルチルームがカギだ。

 こうした施策によって例えば、ソニーが販売するテレビのうち7割が4Kになってきた。またカメラは業界全体として売上高が下がる中、ソニーは2ケタ成長を遂げている。絞り込んだことで、利益率もキャッシュフローも増えた。

 絞り込みと並行して、商品によって売り方を変えてきた。例えば、テレビの場合は、BestBuyなどの量販店で購入することが多いことから、ここを強化した。2014年より前はソニー製品と他社製品との違いを説明できない販売員も少なくなく、同じ棚にずらりと他社のテレビも横並びで置いていることが多かったが、これを改善した。取引先を絞るとともに、ソニー商品専門の人を店舗側にアサインしてもらったり、「Sony Retail Experience」というソニー専用店舗内店舗や「Magnolia」というBestBuyの店舗内セレクトショップにおいてもらったりするようにした。とにかく、店舗店員におけるソニーファンを増やし、積極的に販売してもらうという考え方だ。

 一方、カメラはオンラインのレビューを読んで決定している人が多い。購入先もカメラ専門店に加え、Amazon.comのようなオンライン店舗が多い。そこで、カメラ専門店ではやはり店舗内店舗を作って全種類のレンズを取り揃えて実際に触れるようにしたり、各地で実際に本体を使って撮影ができるセミナーを開催したりして、デジタル一眼レフのαシリーズのファン作りを行ってきた。

 今後力を入れるオーディオについては、Magnoliaに専用の展示台を作り、ハイレゾの良さを体験してもらい、売っていくことを考えている。日本でも2年前にハイレゾをプロモーションし始めたときには、ほとんど認知度はなかった。ところが今は、多くの人が知っている。同じ状況を米国でも作りたい。

 ソニーはテレビはトリニトロンのイメージがあり、カメラには各社のスマートフォンのCMOSイメージセンサーに使われていることから、センサーに良いイメージがあった。これが販売に良い影響を与えたと思う。ソニーは元々、オーディオは強く、人々にもそのイメージが残っているのではないか。オーディオを伸ばせる余地は十分にある。